ある町医者の診療日記

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zoom RSS プルトニウムは人類が遭遇した最悪の毒物か?

<<   作成日時 : 2011/04/09 18:20   >>

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反原発論者がプルトニウムの危険性を喧伝して大衆の不安を煽っている。
私は、正直言って、プルトニウムの危険性について正確なところは知らない。ただ、彼らの主張の多くはデマというのは経験的に知っていたので、この手の主張も眉に唾しながら見ていた。それが今回の福島第一原子力発電所の事故で、そうとも言ってられなくなり、いろいろ調べてみました。

「人類が遭遇した最悪の毒物」

どうもこの手の主張は、ホットパーティクル仮説というのが出発点のような。
プルトニウムという放射能とその被曝の特徴
京都大学 原子炉実験所 小出 裕章
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/Pu-risk.pdf
(この方、トンデモ系に取り込まれたかもで、信用性にいまいち不安があるのですが、、、)
これはpdfファイルですが、HTMLのもある。
http://www.scribd.com/doc/51759438/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E8%A2%AB%E6%9B%9D%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%80%80%E5%B0%8F%E5%87%BA-%E8%A3%95%E7%AB%A0
-----(ここから引用)-----
1974 年に、タンプリンとコクランはこの肺中の不均等被曝問題を取り上げて、「Radiation Standardfor Hot Particle」と題する論文を発表した。彼らは、その粒子が沈着した周辺の細胞に10Sv 以上の被曝を与えるような粒子を「ホットパーティクル」と定義し、そのような被曝を受けた細胞ががん化する確率を動物実験の結果から1/2000 とした。当時職業人の年間許容被曝線量は5rem/年であり、この値は、がんになる危険度が1/1000 という仮定から導かれたものであった。それに対応してICRP が示していた、肺中のプルトニウムの最大許容沈着量は16000pCi であった。それに対し、タンプリンとコクランが考えた「ホットパーティクル」による不均等被曝の場合には、1個0.07pCi の放射能を持つホットパーティクル2個、つまり0.14pCi で、がんになる危険度が1/1000 になってしまう。それゆえ、タンプリンとコクランはホットパーティクルの吸入を問題にする場合の許容量を115000分の1(0.14/16000)に引き下げるよう求めたのであった。
-----(引用、終わり)-----

そして、私も記憶にある高木仁三郎という有名な人が出てくる。
高木仁三郎の部屋
http://cnic.jp/takagi/
>1975 「プルトニウム毒性の考察」(岩波書店『科学』5月号)。8月、京都で「反原発全国集会」。9月、原子力資料情報室が設立され(武谷三男代表)、専従世話人となる。

のように、一貫して反原発の主張をされ、運動もしていた(のでしょう、それがニュースにも出て、私の記憶に残っていると)。
この方の著作に「新版元素の小事典」があり、そこには次のようなことが書かれている(らしい、実際には読んでないので web からの引用)。
-----(ここから引用)-----
プルトニウム239のもうひとつの特徴は、毒性がきわめて強いことだ。
これは、放出するアルファ線の性質と、人体にとりこまれると長く残りやすいことからくるが、そのために、"この世でもっとも毒性の強い元素"といわれさえする。肺に入ると肺ガンの原因となるが、肺に対する許容量は四〇〇〇万分の一ぐらむというわずかなものだ。
プルトニウムという名がついたのは偶然のことだったが、それが"地獄の王の元素"という意味だったのは、皮肉な一致というべきだろう。
-----(引用、終わり)-----

で、角砂糖数個で日本人全員を殺せるとかいう話になってきた。
そして、未だにこの手の嘘を持ち出してきて大衆の不安をあおり立ている人が、それも多数いる。webにもあるようで、そういうのを(やんわりと)批判しているサイトもある。
震災支援:プルトニウムが怖い方へ(追記あり)
http://sleep.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-e78a.html

こういうのが真っ赤な嘘であったのは、どうも証明されているようです。
アメリカのプルトニウム製造工場(もちろん核兵器用)で事故があり、そこで酸化プルトニウムの微粒子を多数の従業員が吸い込んでしまったという事故が起こった(そうです)。ところが大きな変化は認められていない(そうです)。
(科学的仮説は反証は一例あればよいという典型例です)
プルトニウム過剰被ばくの人体例3
ロッキーフラッ卜火災被ばく者

http://blog.livedoor.jp/tgs146b/archives/51788121.html
(この「プルトニウム過剰ひばくの人体例」は読んでおく価値があると思います、是非)

「あとみん」というサイト(これは、原発推進派のサイトと見るべきでしょうけど)
プルトニウムの毒性
http://www.atomin.go.jp/reference/atomic/plutonium_science/index04.html#plutonium_science03
-----(ここから引用)-----
(c)米国ロッキーフラッツ火災事故被ばく者
1965年、核兵器製造用のプルトニウム工場にて火災事故があり、酸化プルトニウムのエアロゾル(ほこり状の微小粒子)を吸入し、400名の従業員のうち25名が許容量を超えた被ばくをした。しかしその後も被ばくの影響は報告されていない。
この例は、酸化プルトニウムの粒子径が正確に評価されているのが特徴である。このとき、米国のタンプリンという人物がプルトニウム「ホットパーティクル仮説」を提唱した。これは、粒子状に固まって体内に摂取されたプルトニウムは、均等に分布して体内に摂取された場合の11万倍以上も危険であるという仮説で、いずれ全例が肺がんになると予測し世間の注目を集めた。この説をよりどころとしてプルトニウムの利用に反対する人たちもいた。しかし実際には影響が現れなかったので、逆にタンプリンの「ホットパーティクル仮説」の誤りが実証された例となっている。
-----(引用、終わり)-----

ホットパーティクル仮説というのは今も生き残っていて「最悪の毒物」という言葉と共に反原発論者が使用し、また劣化ウラン弾への非難などに持ち出している。
その一例。
http://www.ne.jp/asahi/kibono/sumika/kibo/note/naibuhibaku/naibuhibaku8.htm

では、実際、プルトニウムというのにどれほどの毒性があるのか?
化学毒性というのももちろんあるようです。重金属ですので他の重金属と同じように。化学的性質は鉛と似ているとか。
そういう化学毒性よりは放射性物質としての有害作用の方がはるかに問題であるのは間違いはない(ただし、上記のように、角砂糖数個で云々というような極端なものではない)。

原子力資料情報室(CNIC)のプルトニウムの項。
http://www.cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/23.html
(これは反原発論者になるので、もっとプルトニウムの毒性を書いてもよさそうに思うのだが、これだけしかない)
-----(ここから引用)-----
化化学的、生物学的性質
プルトニウムの化学的性質を簡単に述べることは難しい。
金属は表面が酸化されやすく、時には発火する。不活性な気体の中で処理せねばならない。
代表的な化合物に4価の化合物が多く、二酸化プルトニウム(PuO2)は高温にも耐え、核燃料に用いられる。
水酸化物、酸化物などは水に溶けにくいことが多いが、溶解度は酸性度、有機物の存在などの化学的条件によって化学的挙動は大きく異なる。
体内に取り込まれた時の生物学的:半減期は、骨で50年、肝臓,でも20年、生殖腺ではさらに長いと考えられている。


生体への影響
アルファ線による内部被曝が問題になる。10,000ベクレルの不溶性酸化物を吸入した時の実効線量は83ミリシーベルト、経口摂取した時は0.090ミリシーベルトになる。その差は大きいが、原因の一つは経口摂取した時は体内に吸収されにくく、吸入した時は肺などに長く留まることにある。
-----(引用、終わり)-----

wikipedia英語版の「プルトニウムの毒性」を訳されているかたがおられる。
http://blog.livedoor.jp/xcrex/archives/65541382.html

先の「あとみん」の「プルトニウムの毒性」
http://www.atomin.go.jp/reference/atomic/plutonium_science/index04.html#plutonium_science03
反原発論派が書いているのよりはるかに多く説明されているのは皮肉か。

放医研研究者のかたのサイト。
http://www.nirs.go.jp/report/nirs_news/200112/hik2p.htm
ここの「プルトニウム吸入被曝による発がん」は読む価値あり!
-----(ここから引用)-----
難溶性の酸化プルトニウム・エアロゾル(微粒子)の吸入被曝とそれによる肺がんの発生リスクをラットで実証する実験に取り組み、これまでに非吸入曝露(対照)動物と併せて約1000匹規模の生涯飼育による発がん率解析研究を行ってきました。図1は、現在までに得られた死亡動物での肺吸収線量(横軸)と病理組織学的に確定診断された肺がん発生率(縦軸)との関係(線量効果関係)を示しますが、1.0 Gy以上から腺癌等悪性腫瘍が急増して、6.0〜8.0 Gyの線量域で最大発生率95%に達することが明らかになりました。しかしながら 0.5 Gy以下の線量域での発生率(図1で点線の領域)がどの程度のものなのかは未だ不明であり、現在約0.2 Gy近辺(吸入量として約20〜30 Bqの放射能相当)の線量域で120匹規模の生涯飼育を追加試験しているところです。
-----(引用、終わり)-----

血液移行による発がんの研究もされている。
-----(ここから引用)-----
これまでに、プルトニウムが骨親和性放射性核種であることから骨肉腫が6.0〜7.0Gyの骨吸収線量で最大(95%)の発生率を示すほか、10Gy以上の高線量域では、リンパ性腫瘍、とくに骨髄前駆細胞やBリンパ球に特有の抗原陽性のB細胞リンパ腫・白血病が多発してくること(図2)、低線量域(0.1 Gy近辺)も含めていわゆる骨髄性白血病の発生がほとんどみとめられない等、他の放射線源による被曝とは異なる発がんの特徴が明らかにされています。
-----(引用、終わり)-----

もっと分かりやすいファイル(ただしpdfファイル)
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/genanken/genanken021/ssiryo21-4.pdf
このページ7。
酸化プルトニウム吸入曝露ラットおよびX線胸部照射ラットの肺がん発生率線量効果曲線比較
-----(ここから引用)-----
・悪性肺腫瘍の発生は、肺線量0.45Gy以上から急増し、6.6Gyで約90%に達する。
(0.16Gyで1.2%、0.45Gyで8.9%、1.59Gyで46.9%)
・図の曲線(赤)から得られた「しきい値様線量(約0.1Gy)」に対応するPu沈着量は、約10Bqに相当。
・ラットとヒトとの肺重量比(1:500)、または体重比(1:300)を上に乗ずると、3000〜5000Bqとなる。
・現在の規制における摂取限度と沈着率から求めた沈着量の限度は193Bqであり、これは上の3000〜5000Bqに比べて小さく、現在の規制レベルが十分安全側に設定されていることが実証された。
-----(引用、終わり)-----

一般的な放射線の影響について、大変参考になったサイト(いつも訪問している岩田先生のブログ)
放射線の人体への影響に関する論考
http://georgebest1969.typepad.jp/blog/2011/04/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E3%81%AE%E4%BA%BA%E4%BD%93%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AB%96%E8%80%83.html
ここの最後の方にある「ちなみに」
-----(ここから引用)-----
広島の原爆にはウラン、長崎の原爆にはプルトニウムが入っていたが、拡散して現在当地にはほとんどこれら半減期の長い放射性物質は検出されないとされている。
プルトニウムはよく人体に甚大な被害を与えると報じられるが、その人体への影響は驚くほど分かっていない。半減期がやたらに長いので恐ろしいイメージがあるが、アルファ線ですぐ遮断されるので体外被曝では人体への影響は小さいとされる。犬の実験では飲ませても大丈夫だったらしい。肺に吸入してしまうと長い半減期の故に発癌のリスクが高いが、人体への実例はぼくは見つけられなかった。70年代、80年代に原発職員が傷口にプルトニウム被曝を事例があり、キレート療法の後に長くフォローされているが、2010年の現在とくに健康問題はなかったという報告をPubMedに探すことができる。
-----(引用、終わり)-----

最後に、タイトルの疑問への回答は No となる。
最悪の毒物ではない。少なくとも反原発論者が言い立てているようなものではない。
他の放射性物質と同じように扱っておけばよい、もちろん、それぞれ特徴があるから調整は必要。

ちなみに、、、
中国が福島原発事故に文句をつけていると煽っている人がいるので、そのカウンターになる資料を一例。
海外移住と黄砂汚染の地図
http://emigration-atlas.net/environment/china-dust-sand-storm.html
中国がやった大気圏内核実験によって大量のプルトニウムが世界中にばらまかれ、さらに黄砂にくっついて日本に飛来している。
-----(ここから引用)-----
黄砂による放射能汚染・黄砂に含まれるプルトニウム

近年、日本において春に放射能 (放射性物質・死の灰)の降下量の急増が観測されるようになりました。原因は中国の沙漠(砂漠)化の進行で大規模な黄砂が頻繁に発生するようになったことにより、中国が過去に新疆ウイグル自治区ロプノール(Lop Nur)で行った核実験(核爆試驗)による放射能 (放射性物質・死の灰)が黄砂と一緒に日本に降下するようになったためです。
-----(引用、終わり)-----

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