ある町医者の診療日記

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zoom RSS トンデモ裁判2題

<<   作成日時 : 2010/09/24 17:21   >>

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大野病院事件や大淀病院事件で少しは司法もまともになるかなと、かすかな期待を持っていたのですが、百年河清を待つってことがよく分かる事例を2例。
システム自体の問題だってことでもある。素人が専門判断を下すという本質的な部分に間違いがあり、そしてそれを直しようがないという本質的な問題であるだけに改善するすべがない。
我々としては自衛するしかない。

元記事が消失しまっているので、google検索でひっかかってきた2chの記事をコピー。
http://2chnull.info/r/hosp/1280904406/101-200
-----(ここから引用)-----
足骨折「半日放置」  川越市医師会を賠償提訴
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20100817-OYT8T01183.htm

 川越市の介護老人保健施設内で足を骨折したのに、約半日間も放置されたとして、元入所者で東京都足立区の女性(80)が17日、施設を運営する市医師会を相手取り、約1389万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
 訴状によると、女性はパーキンソン病を患い、2008年5月に入所した。09年7月、トイレに行こうとして転倒し、
左の大腿骨(だいたいこつ)を骨折。女性は痛みを訴えたが、施設側は適切な検査を行わず、女性の家族から指摘されるまで骨折に気づかなかったとしている。女性は介助を受けなければ歩けない状態になったといい、原告代理人の副島洋明弁護士は「施設の過失は重大。利用者が大けがをしたのに、気づかないのはおかしい」と話している。
 川越市医師会は「訴状の内容がわからないのでコメントできない」としている。
-----(引用、終わり)-----

骨折から半日、それを「放置」と悪意に表現し訴える。そして1389万円ですか、なんとまぁ。
このスレッドに地元紙なのかな、詳細記事というのもあるので、それもコピー。
-----(ここから引用)-----
施設入所中に骨折し認知症 川越市医師会を提訴
http://www.saitama-np.co.jp/news08/18/05.html
 
 昨年7月、介護老人保健施設「いぶき」(川越市下小坂)で、入所していた東京都足立区の女性(80)が左大腿(だいたい)骨を骨折して寝たきり状態に陥り、認知症となったのは同施設の転倒事故への対処が不十分だった上、骨折した女性に適切な処置を行わなかったためだとして、女性の成年後見人の長女(55)=さいたま市=が17日、施設を経営する川越市医師会(山口現朗会長)に約1389万円の損害賠償を求める訴訟を、東京地裁に起こした。
 訴状によると、女性は施設を退所する昨年7月17日未明、同施設内で転倒し左脚を骨折。朝から痛みを訴えていたが、職員や医師が外傷の確認や診察、治療をしないまま、同日午後4時30分ごろ長女が迎えに来て退所した。女性は自動車に乗って間もなく、意識がもうろうとするなど容体が急変。そのまま別の病院に連れて行ったところ骨折が判明、緊急手術を受けた。
 女性は重体に陥ったものの、一命を取り留めた。だが、今年6月までリハビリ治療を強いられ、現在も寝たきり状態で川越市内の病院に入院している。同施設に入所中は見られなかった認知症が進行し、意思表示ができない状態になっているという。
 東京都内の司法記者クラブで会見した原告側代理人の副島洋明弁護士によると、パーキンソン病を患う女性は、一昨年5月に入所。手の震えがある女性は十分な食事時間が与えられず、栄養失調になったため退所を決めた。その直後の昨年7月6日、女性は家族に無断で認知症専門棟に移されている。同弁護士は「重大事故にしないための介助法があったはずだし、何よりも女性を放置した責任を問いたい」と争点を挙げた。
 川越市医師会は「女性がけがをしたのは事実だが、詳細は把握していない。訴状を見ていないので、コメントは控えたい」としている。同施設は「訴状を受け取ってから対応する」とコメントした。
-----(引用、終わり)-----

卵の名無しさん(ハンドル名無しということ)が「訴訟ビジネス」と書いているけど、この事件、それ以外評しようがない。
強調した部分、担当弁護士の言い分を読んで見て下さい。「気づかないのはおかしい」とか「重大事故にしないための介助法があったはずだ」とか、第三者の気楽な、そして実際は無理難題であることをよく平気で主張するもんだと思います。
この弁護士、どうも懲戒処分を受けているようで。
http://blogs.yahoo.co.jp/nb_ichii/30307597.html
-----(ここから引用)-----
C 懲戒処分を受けた弁護士
氏名 副島 洋明 登録番号 17100 東京弁護士会
東京都荒川区東日暮里5
根岸いんくる法律事務所
懲戒処分    戒告
懲戒処分を受けた日   5月7日


ええっ!! 今,注目の裁判中のあの弁護士が懲戒処分か

遺言執行事件での放置や故意とみられる時効消滅等
得意とするものは頑張るのですが・・・・・
詳細は後日
-----(引用、終わり)-----

で、身体拘束裁判に関わっている人権派なのだそうな。
一宮身体拘束裁判
http://www.orcaland.gr.jp/kaleido/iryosaiban/H20ju2029.html

この事件、理不尽以外の何物でもないのですが、医学的に疑問なのがこの部分。
-----(ここから引用)-----
女性は自動車に乗って間もなく、意識がもうろうとするなど容体が急変。
そのまま別の病院に連れて行ったところ骨折が判明、緊急手術を受けた。

-----(引用、終わり)-----

骨折で緊急手術を必要とするものなど限られている。骨折自体が命に関わるというような場合や、開放骨折のような感染を起こすとか、血管や神経を損傷しているとかいうのでない限り、数日から1週間程度待つのは普通です。
(それゆえ、「半日放置」など、結果には関係ない。「半日放置」したから「介助を受けなければ歩けない状態になった」のでもないし、「今年6月までリハビリ治療を強いられ」るのでもないのです。)
「意識がもうろうとするなど容体が急変」などという全身状態が不良な場合はなおさらのことです。全身状態を改善させてからでないと手術をしてはいけない。
骨折、それも大腿骨のような大きな骨の骨折(たぶん大腿骨頸部骨折なのでしょう)の場合にはかなり内出血し、それだけでショック(血圧低下)になることもある。そういう場合は、まず輸血や輸液して、貧血や体液減少を改善してから手術というのが普通です。
時には、2、3日、手術場が詰まっていて空くのを待ってという場合さえある。骨折の手術というのはそういうものです。
それを、「緊急手術」ってどういうことなのか?

それと、容体を急変させた、つまり女性を自動車に移した人(つまり原告)には、落ち度はないのか?
こっちの方がよほど問題と思うけど、原告が持ち出すはずもなし、、、

次はこれ。
細菌性髄膜炎で死亡したのは初診時に、「症状から髄膜炎を疑うべきなのに、診察が不十分なうえ、設備の整った医療機関に転送させなかった過失がある」として、開業医が敗訴した裁判。
(鳥取)初診開業医に賠償命令
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/9/14/125580/
-----(ここから引用)-----
地裁 患者死亡「問診が不十分」

 髄膜炎の症状を見過ごされ、治療の遅れから転院先で死亡したとして、境港市の男性会社員(当時40歳)の両親が同市内のたけのうち診療所(閉鎖)の50歳代の男性医師に慰謝料など約7500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、地裁米子支部であった。村田龍平裁判長は「十分な問診と、設備の整った医療機関への移送を怠った過失があった」として、医師に約5600万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2001年12月、高熱や嘔吐(おうと)の症状を訴えて初めて同診療所で受診。解熱剤などを処方されて帰宅したが、症状は悪化し、翌日に救急搬送された病院で細菌性髄膜炎と診断された。その後、意識が回復しないまま、転院先の病院で05年1月に多臓器不全で死亡した。

 診療所では、感染症検査などを外部に委託しており、村田裁判長は「髄膜炎と断定することは困難だった」としたうえで、「髄膜炎を疑って特有の症状を確認するなどし、病院での検査を勧めていれば死亡は避けられた」と判断。一方で「過失がなくても後遺症が残った可能性がある」として損害額の3割を減じた。

 原告側の高橋敬幸弁護士は閉廷後「初診患者に対する問診の不十分さと死亡との因果関係が認められるのは極めて珍しい。初診の重要性を開業医に投げかける判決だ」と話した。

 被告側の川中修一弁護士は「短時間の診療で髄膜炎と見抜くのは難しい。医師と相談し、控訴を検討する」としている。
-----(引用、終わり)-----

いつも訪問している、、、
新小児科医のつぶやきさん
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20100916
こりゃ、どう転んでもみたいな・・・

うろうろドクターさん
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/31951575.html
判決は、どちらの鑑定が採用されるかで決まる…

でも取り上げられていた。

後知恵で(つまり結果が分かった後になって)、髄膜炎を疑って特有の症状を確認するなどし、病院での検査を勧めていれば」などというを持ち出されては臨床はやってられない。これはこの手の裁判で何度も、何度も、そしていつも言われていることなのだが、裁判官には全く分かってもらえない。それも当然ではあるのです。この感覚を、臨床医療に素人に分かれというのに無理がある。裁判官も素人であるのに変わりはないのですから、こういう後知恵に基づく判決を下すのも分かる。分かるがそれを持ち出して現場に口を出されては、現場が壊れてしまう。これは、医療だけに限らない。

そして、この手の後知恵を持ち出すのは素人だけではない、医師にもいる。

この裁判記事、毎日新聞も書いているのですが、そこにはこうあります。
-----(ここから引用)-----
 判決は「症状から髄膜炎を疑うべきなのに、診察が不十分なうえ、設備の整った医療機関に転送させなかった過失がある」と判断。過失と死亡との因果関係も認定した。

 被告側は「初診で見抜くのは困難だった」と反論していたが、「重症の急性感染症が疑われ、設備の充実した医療機関を紹介すべきだった」とした岡山大の感染症専門家による鑑定結果を判決は全面的に採用した。
-----(引用、終わり)-----

後知恵を持ち出した鑑定医がいたのです。

Dr.Poohさんの考察がすばらしい。
私も全く同感です。
初診時の転送義務と後知恵鑑定
http://d.hatena.ne.jp/DrPooh/20100915/1284500927

外来には、多様な患者さんが来られる。
一見軽症そうにみえても、実はという地雷疾患が、その中に、希に、含まれている。ほとんどが、一見軽症そうで、実はの方も軽症というのがほとんどなのだが、ごく希にこの手の疾患が紛れ込んでいる。そういう地雷疾患をいつも疑い、診察しろ(そうやっていたら、どれほど実は軽症という患者さんに時間を無駄にさせることか)、「設備の整った医療機関に転送しろ」(そうしていたら、二次、三次救急はすぐにもパンクする)などと言える「鑑定医」がいるわけです。

それにしても、この後知恵鑑定をやった「岡山大の感染症専門家」って誰なんだろう。
第二の森功名心大先生か。

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