ある町医者の診療日記

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zoom RSS こんな詭弁に騙される者がいるのだろうか?

<<   作成日時 : 2010/03/09 18:25   >>

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なぜ、それも今この時期に、という疑問しか起きない、そんな読売の記事です。
全文引用しておこう。

ネットで目立つ医師の“暴走”、医療被害者を攻撃
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/3/8/117039/
-----(ここから引用)-----
暴言・中傷・カルテ無断転載

 医療事故の被害者や支援者への個人攻撃、品位のない中傷、カルテの無断転載など、インターネット上で発信する医師たちの“暴走”が目立ち、遺族が精神的な二次被害を受ける例も相次いでいる。状況を憂慮した日本医師会(日医)の生命倫理懇談会(座長、高久史麿・日本医学会会長)は2月、こうしたネット上の加害行為を「専門職として不適切だ」と、強く戒める報告書をまとめた。

 ネット上の攻撃的発言は数年前から激しくなった。

 2006年に奈良県の妊婦が19病院に転院を断られた末、搬送先で死亡した問題では、カルテの内容が医師専用掲示板に勝手に書き込まれ、医師らの公開ブログにも転載された。警察が捜査を始めると、書いた医師が遺族に謝罪した。同じ掲示板に「脳出血を生じた母体も助かって当然、と思っている夫に妻を妊娠させる資格はない」と投稿した横浜市の医師は、侮辱罪で略式命令を受けた。

 同じ年に産婦人科医が逮捕された福島県立大野病院の出産事故(無罪確定)では、遺族の自宅を調べるよう呼びかける書き込みや、「2人目はだめだと言われていたのに産んだ」と亡くなった妊婦を非難する言葉が掲示板やブログに出た。

 この事故について冷静な検証を求める発言をした金沢大医学部の講師は、2ちゃんねる掲示板で「日本の全(すべ)ての医師の敵。日本中の医師からリンチを浴びながら生きて行くだろう。命を大事にしろよ」と脅迫され、医師専用掲示板では「こういう万年講師が掃きだめにいる」と書かれた。

 割りばしがのどに刺さって男児が死亡した事故では、診察した東京・杏林大病院の医師の無罪が08年に確定した後、「医療崩壊を招いた死神ファミリー」「被害者面して医師を恐喝、ついでに責任転嫁しようと騒いだ」などと両親を非難する書き込みが相次いだ。

 ほかにも、遺族らを「モンスター」「自称被害者のクレーマー」などと呼んだり、「責任をなすりつけた上で病院から金をせしめたいのかな」などと、おとしめる投稿は今も多い。

 誰でも書けるネット上の百科事典「ウィキペディア」では、市民団体の活動が、医療崩壊の原因の一つとして記述されている。

 奈良の遺族は「『産科医療を崩壊させた』という中傷も相次ぎ、深く傷ついた」、割りばし事故の母親は「発言することが恐ろしくなった」という。

倫理指針に反映を

 栗岡幹英・奈良女子大教授(医療社会学)の話「攻撃的発言を繰り返す医師たちは、刑事や民事の訴訟で被告になった医師と自分を一体的に考えて『医師全体が攻撃された』ととらえている。合意形成を目指すのではなく、ひたすら他者を非難・攻撃するため、患者側に萎縮(いしゅく)傾向を招いている。報告書だけでなく、職業倫理指針に反映すべきだ」

日医警告「信頼損なう」

 日医の懇談会は「高度情報化社会における生命倫理」の報告書で、ネット上の言動について「特に医療被害者、家族、医療機関の内部告発者、政策に携わる公務員、報道記者などへの個人攻撃は、医師の社会的信頼を損なう」と強調した。

 匿名の掲示板でも、違法性があれば投稿者の情報は開示され、刑事・民事の責任を問われる、と安易な書き込みに注意を喚起。「専門職である医師は実名での情報発信が望ましい」とし、医師専用の掲示板は原則実名の運営に改めるべきだとした。ウィキペディアの記事の一方的書き換えも「荒らし」の一種だと断じ、公人でない個人の記事を作るのも慎むべきだとした。

 報告の内容は、日医が定めた「医師の職業倫理指針」に盛り込まれる可能性もある。その場合、違反すると再教育の対象になりうる。
-----(引用、終わり)-----

非常に初歩的な詭弁を使っている。
こんなもので騙される者がいるのだろうか、、、

いや、いるんでしょうね、それも多く。
だから、この手の詭弁を堂々と新聞紙面に載せて平然としておれるのでしょう。

少なくとも2つの詭弁が使われている。
虚偽の前提、それと間違った一般化という詭弁。

虚偽の事実を前提にいかなる推論をしようが、その結論は無価値です。
で、この読売の記事が持ち出している事例は、真なる事実なのか?

大淀病院事件におけるカルテ内容のインターネット上への転載ですが、これは、読売新聞を初めとしたマスコミへの、たぶん患者家族による提供が先にある(読売新聞が家族提供と新聞紙面で書いている)。そして、原告側弁護士による、マスコミへの提供は看護記録のみだという講演会での発言は、明かな嘘です(読売新聞やテレビ画面に出ている資料は、医師記録のものが含まれている)。
(これらについては、私もブログで考察したことがあるし、他の医療系ブログでも詳細に検討された)

次の「警察が捜査を始めると、書いた医師が遺族に謝罪した。」ということは事実なのか?
m3.comの掲示板に「マスコミに出回っているコピーを元にして」書いたとメッセージを投稿した人が謝罪した、というのは事実なのだろうか?
これらは、私には確かめようがない。
そして、この記事にその根拠は少しも書かれていない。

一つ言えることは、あのm3.com掲示板に投稿された、詳細な臨床経過は、それが事実であること、そしてその事実によって、それまでマスコミがよってたかってバッシングしていた担当医に、何の落ち度もなかったことが明らかになった。これこそが、何にもまして重要なことだと、私は思います。
そして、つい先日、この無過失であったということが、裁判の場でも支持された。
あの投稿は、マスコミ、そして原告側にとっては、非常に不都合な事実であった。このことが重要です。

>同じ掲示板に「脳出血を生じた母体も助かって当然、と思っている夫に妻を妊娠させる資格はない」と投稿した横浜市の医師は、侮辱罪で略式命令を受けた。

m3.com掲示板に、「脳出血を生じた母体も助かって当然、と思っている夫に妻を妊娠させる資格はない」という投稿があったような記憶が、私にもありますが、今や確かめようがない(m3が圧力に負けて大量に投稿を削除したためです)。なお、同じような書き込みが他の掲示板にもあったようです。これらが同一人物によるのかどうかは、匿名掲示板という性格上、確かめようがない。さらに言えば、この書き込みをした者が、「横浜市の医師」なのかどうか、私には確かめようがない。また、侮辱罪で略式命令を受けたのが事実かどうかも分からない。
読売新聞は、これが事実かどうか、確認をとっているのでしょうか?
(たぶんとっていないと推測します)
もしかすると、わら人形の可能性もある。

なお、「脳出血を生じた母体も助かって当然、と思っている夫に妻を妊娠させる資格はない」という言明は、侮辱なのでしょうか?
妊娠、出産は、女性に命の危険を伴わせる。250回に1回は、何らかの危険を伴うという統計もある。
妊娠、出産とは女性に危険を、時には命の危険を伴わせるのですから、それに責任を持てない夫は妻を妊娠させる資格はない。
これって、侮辱的言明なのでしょうか?

大野病院事件における書き込み、「遺族の自宅を調べるよう呼びかける」ものや「2人目はだめだと言われていたのに産んだ」というものがあったのかどうか、私には分かりません。もしかして、これらはあの2chでの書き込みかもしれない。
割り箸事件の書き込みも私には確かめようがない。これらも2chのものを持ち出してきている可能性が高い。

他のこの記事が持ち出している前提も、事実かどうか、私には分からない。

さらにより重要なことは、m3.comの掲示板は、医師限定とのことになっていますが、そうではないということです。医師でない者もアクセスしているのは公然の秘密です。
事実、あの(自称)医療ジャーナリストの鳥集某は、医師でもないのにm3.com掲示板の投稿を自分の著書に、大量に、それも無断で引用している。管理者のm3にも、投稿者にもです。
これが2chとなれば、投稿したものが誰か、その職業が何かなど確かめようがない。医師だとなりすまして書いているというのを見破るすべはない。
読売新聞は、記事に持ち出している、医師による投稿だという前提で、医師全体を非難しているが、読売新聞は、それらの投稿を医師によるものだと確認したんでしょうか?
私は、していないと推測します。ほとんど不可能に近いからです。100%不可能ではないが、多大な労力と時間を必要とします。
もし、確認することなく、それらを全て医師によるものだと決めつけ、医師はこんな侮辱的書き込みをしている、暴走していると非難しているのだとしたら、間違っています。新聞記事として失格です。

再度言います。
間違った前提かもしれないことを確認をすることこともなく持ち出して、それも自分の主張に都合の良いものだけを持ち出して、他者を非難することは、間違っているし、非常に卑怯な行為です。

次に、一部、医師が誹謗中傷や侮辱的書き込みをしているのが事実としても、それを全ての医師はとか多くの医師はと一般化するのは、これも典型的な詭弁です。
「間違った一般化」、あるいは「早まった一般化」という詭弁です。

一つ例を出しましょう。
マスコミは「やらせ」や「捏造」をやる。そういう事実が過去に、幾度かあった。
あの朝日がやらかした珊瑚事件、他の新聞社にもこの手の一つや二つはある。テレビにもある。それもつい最近にもあった。
で、こういう例を持ち出して、(多くのあるいは全ての)新聞記事は、テレビ報道は「やらせ」だ「捏造」だとやるのは、正しいでしょうか?

一般化の詭弁、これはよく使われる詭弁で、うまくやられると騙されることが多い。
しかし、この読売の記事のような、初歩的で典型的な詭弁なら、普通の頭を持っている人ならすぐ見破れる(はずです)。

最後に、この記事が権威付けに持ち出している「日医警告」なるものの胡散臭さも書いておきます。
これは警告でもなんでもない、単なる懇談会の報告書に過ぎない。
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20100204_1.pdf
そして、この「懇談会」の委員に、読売新聞の関係者が入り込んでいるのにも注目してください。
>委 員  南 砂  読売新聞東京本社編集委員

なんのことはない、自分で自分を権威付けに使っているだけの話じゃないか。
それに、マスコミは日医を圧力団体のような悪の組織としてよく持ち出す。にもかかわらず都合の良い時だけ、さも権威ある組織として持ち上げるとは、マスコミのご都合主義もここにきわまれりかな。

なお、この日医の報告書については、ロハス・メディカルで中村利仁さんが批判しています。
医者にプライバシーはないのか?
http://lohasmedical.jp/blog/2010/03/post_2277.php

それにしても、どうしてこの時期にこういう詭弁を弄する記事を、それも読売新聞が書いたのだろうか?
何か裏で、それも悪臭のするような繋がりでもあるとしか思えない。

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