ある町医者の診療日記

アクセスカウンタ

zoom RSS もしSEだったら

<<   作成日時 : 2008/12/20 19:12   >>

ナイス ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 0

鳥集徹という(自称)医療ジャーナリストが、ネット上で発言している医師を非難する本を出版したらしい。その中でm3.comを悪の巣窟かのごとく非難しているとのことで、そのm3.comでスレッドが立っています。
それで以前訪問したうろうろドクターさんのブログで、そういやぁこの本関連のエントリーがあったというのを思い出した。
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/26360972.html
とりごろうに注意!!!

あるシンポジウム(あの自分の講座を民事訴訟の一方を支援する活動につかっている大学教授が主催するシンポジウム)でこの鳥集氏がこういう本を出版すると言っていたらしい。
その鳥集氏の発言であきれたことの一つ(全てがそうなんですが特にということ)。
大野病院事件の「ご遺族」の発言だそうです。
-----(ここから引用)-----
僕はもっと実は、ご遺族が真相を知りたいと求めていた話は何かというと刑事裁判の争点になった癒着をはがしていいかどうか?という話とはちょっと違う所です。

ご遺族が言いたかったのは、亡くなった妊婦さんは、帝王切開の手術を受けるまでほぼ1ヶ月入院したのですよ、その1ヶ月の間に、裁判になって初めて解ったんですけど、医師側とか、県の調査では解んなかったんですよ。
助産師さんが「この患者さんは危険だから、ウチの病院ではやらない方がいいんじゃないですか」と、その先生に言っていたり、その先生が先輩の自分の医局の福島医大の先輩に相談したら、「ああ、ウチでも前回帝王切開で前置胎盤の患者さんをやったら、大量出血で大変だったよ」と言ってるんですよ、これは否定されていない話なのですけど、そういう事実があったのに、そこのところは業務上過失致死とは余り関係ないから議論されてないのです。
-----(引用、終わり)-----

こういう実際無意味な「事実」(括弧つきの事実)を持ち出すところ、まさに(自称)ジャーナリストの面目躍如と思いました。
医師側とか県の調査で分からなかったとかいうのではなく、そもそもナンセンスだから無視されたのです。

なぜナンセンスなのか。
その感覚を医師以外の人に分かってもらうにはどうしたらよいのか、、、

slashdotというIT関連の人が集まるサイトがあります。
そこで、この大野病院事件の裁判が無罪になったときスレッドが立った。
手術の結果産婦を死なせた刑事責任を問われた「大野病院事件」、無罪判決が下る
http://slashdot.jp/article.pl?sid=08/08/22/0831252
ここで、この「助産師さんが「この患者さんは危険だから、ウチの病院ではやらない方がいいんじゃないですか」」と言ったとか言わなかったとかいうことについても話題になっています。

もしSEだったらというスレッド。
http://slashdot.jp/comments.pl?sid=415555&threshold=1&commentsort=3&mode=thread&cid=1408148
-----(ここから引用)-----
もしSE向けにこの話を書き換えるなら、自分が24時間1人で管理を任されている(その前提も酷い話だけど)サーバに、突然大量のDOS攻撃とゼロデイ脆弱性を突いた巧妙な攻撃がやってきて、シャットダウン試みる暇すらなく、ものの数分で数万人の顧客情報が盗まれた、というような状況を想像すればいいかと思います。「一生に一度あるかどうか」という頻度的にも、対応と状況判断の困難さという意味でも、起こった時点でもの凄く不利な戦いだという意味でも、このくらいの例えで間違ってないと思います。

へっぽこ管理者ではなくて、迅速なパッチ当てとか日々の管理業務とかは人並み以上に完璧にこなし毎月200時間の残業にも耐える優良管理者だったけど、なんか内部事情を知る者のバックドアによって、ほとんど不可抗力的な巧妙な攻撃を受けた、と。ただ一般人にはユチャクタイバンもバックドアもゼロデイアタックも意味不明な言葉過ぎて理解できない。

そこで「お前の会社の内部反省会の資料で過失が色々書いてある」というのを理由に、アナタが1年後に個人的に逮捕され、「サーバの操作ミスで顧客情報を流出させた管理者 [yomiuri.co.jp]が逮捕!」「ゼロデイアタックの実務経験が全くない管理者! [ocn.ne.jp]」とか叩かれ、

「危険を感じた瞬間に安全なシャットダウンを断念し、電源ケーブルやLANケーブルをすぐにひっこ抜くべきだった明確な過失」という内容で起訴され(物理的にネットワークを遮断するのが基本だと書いてある本は実在したとして、現場で実際に可能ですか)、

裁判中に「脆弱性」を「きじゃくせい」と読む [google.com]とか、「ところでウープスって何? (←UPSのこと)」とか、そういうレベルも知らない [lohasmedical.jp]検察に1年以上も公判を維持された、というような状況です。

正直、意味がわかっていればアホらしすぎて付き合ってられません。

まさか、こんな幼稚な裁判が、直接被害者の民間人ではなくて、国家権力によって為されるとは夢にも思ってなかった、と。

まっとうな会社なら、せいぜい会社同士の補償の交渉があるか、最悪会社同士の民事訴訟くらいしか思いつかないシチュエーションですが、これで個人が逮捕かよ、しかも世論の味方が(当初は)ゼロかよ、というのに絶望した、と。
-----(引用、終わり)-----

で、これに対し、検察側にたって例えているレスがついています。
(ただし、このレスはスコア0)
http://slashdot.jp/comments.pl?sid=415555&threshold=1&commentsort=3&mode=thread&cid=1408221
-----(ここから引用)-----
「もしSE向けにこの話を書き換えるなら」は突っ込み所満載だね。医療に関して自分は専門外なので判断は保留しておく。

第1回公判(平成19年1月26日)の検察側の冒頭陳述によれば、
--
被告は検査の結果、被害者の胎盤は子宮口を覆う全前置胎盤で子宮の前壁から後壁にかけて付着し、第1子出産時の帝王切開のきず跡に及んでいるため癒着の可能性が高いと診断した。無理にはがすと大量出血のリスクがあることは所持する専門書に記載してある。

 県立大野病院は、高度の医療を提供できる医療機関の指定を受けておらず、輸血の確保も物理的に難しいため、過去に受診した前置胎盤患者は設備の充実した他病院に転院させてきた。

 だが、被告は、助産師が「手術は大野病院でしない方がいいのでは」と助言したが、聞き入れなかった。助産師は他の産婦人科医の応援も打診したが、「問題が起きれば双葉厚生病院の医師に来てもらう」と答えた。先輩医師に大量出血した前置胎盤のケースを聴かされ、応援医師の派遣を打診されたが断った。
--

この話に基づいて「もしSE(?)向けにこの話を書き換えるなら」、こうでしょう。

・サーバに、突然大量のDOS攻撃とゼロデイ脆弱性を突いた巧妙な攻撃がやってくるかも知れないと専門書に記載してあった。
・いつもなら数万人の顧客情報を扱うような案件は設備の充実した他の会社を紹介していた。
・先輩に他の管理者の応援を打診されたが断った。

その結果、シャットダウン試みる暇すらなく、ものの数分で数万人の顧客情報が盗まれた、というような状況を想像すればいいかと思います。
-----(引用、終わり)-----

鳥集氏は、裁判では判決に無価値とされた検察側の「事実」を持ち出して、「遺族」はそういうことを知りたいと願っているのだと(つまりこれがあの「真相を知りたい」ということの一つということなんでしょう)している。
このナンセンスさ。
これへのレス。
http://slashdot.jp/comments.pl?sid=415555&threshold=1&commentsort=3&mode=thread&cid=1408242
-----(ここから引用)-----
それはあくまで検察側の陳述ですし、結局検察も無理筋だと思ったのか、その部分はそこまで争点にしておらず、裁判所も判決内で判断すら下していない部分となりますが。

前置胎盤を全例搬送していたというのは多分嘘です [umin.ac.jp]。その双葉厚生病院でも1人で何例もやってると証言されています。判決で無視されてるので、事実認定としては何とも言いませんが。

「いつもなら他の会社を紹介していた」のくだり。企画会議の時点で、実際のサーバ管理もできない下っ端が確かにそんなことも言ったが一同に無視された、といった程度のものかと思います。専門外とのことで、「異常産における助産師」の役割をどの程度ご存じか知りませんが、彼女だって自分に降りかかる責任は回避したいでしょうから、そういうこと警察に述べてても不自然ではないでしょう。自分から見れば、「えっ、異常産について何の手出しもする資格のない立場の人間の発言が起訴状に載るほどに検察の材料は少ないの?」という印象。

管理者の応援の打診を断った点については、それも含めて彼の判断でしたから、確かにその通りですね。それを含めていいと思います。それが加わって犯罪を構成する要件になり得るかどうかというと、厳しいかと思います。2人いたところでどうしようもなかったという証言 [lohasmedical.jp]が裁判中にあったのも書き添えておきます。

まあたとえ話ってことで(^-^;
-----(引用、終わり)-----

まさに「企画会議の時点で、実際のサーバ管理もできない下っ端が確かにそんなことも言ったが一同に無視された、といった程度のもの」!

こういう例は他の分野でも多々あると思います。
ほとんど何の責任も取らないでいい、また取れないような「下っ端」が、仲間内で語ったうわさ話程度のことを、後から、「あぁ、あんなことを話したことがある」と持ち出して、さも鬼の首でもとったように大げさに言い立てる。
これが「遺族」の言う「真相を知りたい」ということの内容なのでしょうか、本当に。

また、あるプロジェクトをするにしろ、事前にいろいろな場合を想定して議論すると思います。
その中では、こういう不都合なことが起こりえる、そういうリスクも考慮して、これで行こうとなると思います。
それを、プロジェクトが失敗した後になって、ああ言ったじゃないかと言うのはナンセンスです。

まぁ、この大野病院事件で、軽症例もより高次の病院に転送されることが多くなり、高次医療機関がドミノ倒しで破綻してきている。
何度も言われている防衛医療、萎縮医療で、この裁判が産科医療、救急医療の破綻の原因(の一つ)となったのは間違いのない事実でしょう。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 7
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
面白い 面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
Firefox 2 無料ダウンロード
もしSEだったら ある町医者の診療日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる