ある町医者の診療日記

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zoom RSS 脳出血の疑いを伝えたか、伝えなかったかの問題ではない

<<   作成日時 : 2008/10/24 16:10   >>

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東京での妊婦受け入れ「拒否」問題のことです。
今、これを盛んにマスコミが取り上げている。
これは、東京でも次第に妊産婦救急が崩壊しつつあるという一つのサインでしょう。
それだけのことです、死んだ方、そしてその家族、残されたお子さんには、むごいことですが、それ以上でもそれ以下でもない。
そして、これは国家レベルの政策ミスの結果であり、最前線で精神や肉体をすり減らして頑張ってきた産科医や小児科医を初めとした医師をバッシングしてきたマスコミ、それに乗っかって踊った国民が後押ししたものでもある。

東京都や病院の担当者が、いろいろ釈明したり頭を下げたりしていますが、「あなたたちがどうにかできるようなものではない」と言ってあげたい。
たぶん、頭を下げた先にはマスコミがいるのでしょうが、下げるのはお前たちの方だ、言いたい。

そして、今また盛んにそのマスコミが開業医と当直医の連絡ミスを言い立てている。
そういう問題ではない。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081022-OYT1T00846.htm?from=nwlb
搬送拒否で死亡の妊婦、都側「脳出血の疑い持たず」
-----(ここから引用)-----
 脳出血を起こして緊急搬送先を探していた東京都内の妊婦(36)が、七つの医療機関に受け入れを拒否され、出産後に死亡した問題で、いったん受け入れを断った都立墨東病院(墨田区)の当直医は、非番の産科部長に拒否したことの了承を電話で得ていたことがわかった。

 都は22日、記者会見を開き、「当初、脳出血を疑う説明はなかった」として病院側には問題がなかったと主張したが、受け入れを要請した妊婦のかかりつけの五の橋産婦人科(江東区)は「激しい頭痛のあることを伝えていた」と反論している。

 都の説明によると、問題の起きた今月4日夜の墨東病院・総合周産期母子医療センターの当直医は5年目の研修医で、午後7時ごろ、五の橋産婦人科の医師から、受け入れ要請の電話を受けた。その際、妊婦に頭痛があるとは聞いたものの、下痢や嘔吐(おうと)がひどいと説明され、感染症などではないかと判断して、当初は脳出血の疑いを持たなかったという。

 当直医はその後、自宅にいた林瑞成(ずいせい)・産科部長に電話をかけ、当直が1人の場合は原則として妊婦を受け入れていないことを理由に他の医療機関を紹介したことについて、了承を得たという。林産科部長は記者会見で、「結果からすれば、もっと頭痛を重大に取り扱えばよかった。ただ、仮に処置が1時間早くても、結果はあまり変わらなかった」と釈明した。

 一方、五の橋産婦人科では川嶋一成院長らが22日夜に記者会見し、「(妊婦が)激しい頭痛を訴えていたので頭部の疾患と判断した」とした上で、「頭を抱えて『痛い、痛い』という状態であることは(墨東病院に)伝えた」などと説明した。
-----(引用、終わり)-----

開業医が、これは大きな周産期医療センターで扱うべき症例だと判断した。この判断は、結果的にも正しかった。しかし、搬送先が1時間、見つからなかったというそれだけのことです。
(1時間程度で、こういう重篤な症例の搬送先が見つかり運ばれたことは、さすが東京だと言えるかもしれない)
再度、言いますが、これはどこでも起こりえることですし、実際起こってもいる。
いわば、犬が人を噛んだというものであって、人が犬を噛んだというものではない。

それを今さら取り上げ、こういう小さな連絡の齟齬を針小棒大に取り上げて何の意味があるのか。

開業医の、最大のと言ってもいい存在理由は、どこまで自分で扱って良いのかという判断を正確に、そして素早く行うことです。その連絡で、頭痛のことを大きく言ったのか、それとも小さく言ったのかなど、こういう緊急事態ではよくあることです。開業医は強調したつもりでも、先はそれほど重要視せずに軽視したとかいうことはよくある。
もちろん、後での検証では、そういう連絡ミスが起こりえないように、使えるときのマニュアルみたいなのを整備するとか教育するなど考えるべきでしょうが、これも、それだけのことです。

問題は、24時間受け入れる体制を、東京都が作り得なかったこと、作れないように国がしたことです。金もない
そういうシステムの中で、医療現場が個人の努力で、これまではなんとかやってきたが、その心を折るようなことを、マスコミや司法や国民が今までさんざんやってきたということ、その結果です。
この事態の検証をやって改善しようと、例えば連絡網をどうとか小細工を労しても、大きな流れはどうしようもない。

何度も言いますが、それだけのことです。
いわば国民が選んだことで、自業自得。
地方は、東京以上に悲惨でしょう。産む場所さえなくなり、産科医がいなくて助産師が扱うというようになってきている。昔の産婆です。
日本の産科医療は、半世紀前の状態に落ちていっている。
東京はまだましなんです。1時間で、こういう重篤な患者が搬送され、適切な医療を受けられる医療が、まだ残っている。

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