ある町医者の診療日記

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zoom RSS いったいこれは何なんだ?

<<   作成日時 : 2008/06/11 13:13   >>

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今朝、朝日新聞で知ったのですが、鎮痛剤の点滴後に死亡したというニュース。
それより詳しい読売新聞のサイトから。

整形外科受診で1人死亡・13人体調不良…三重・伊賀
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080610-OYT1T00675.htm
-----(ここから引用)-----
 三重県伊賀市上野車坂町の整形外科医院「谷本整形」(谷本広道院長)で、腰痛などの症状で点滴治療を受けた60〜80歳代の男女14人が腹痛や発熱などの体調不良を訴えた。

 このうち同市島ヶ原、市川満智子さん(73)が10日、自宅で死亡しているのが見つかった。県は医療事故の疑いもあるとみて、谷本整形に診察自粛を指導した。県警は事件、事故の両面で捜査を開始し、谷本院長らから事情を聞くとともに、11日に市川さんの遺体を司法解剖して死因を調べる。

 県の発表によると、9日午後3時ごろ、伊賀市立上野総合市民病院から、谷本整形で点滴の静脈注射を受けた複数の患者に腹痛や発熱、嘔吐(おうと)、ふるえ、白血球減少などの症状がみられると連絡があった。患者はいずれも、鎮痛薬「ノイロトロピン」とビタミン剤「メチコバール」を生理食塩水に溶かした点滴を受けたという。

 県警によると、市川さんは9日に点滴を受けた後、気分が悪くなったという。10日午後0時半ごろ、外出から帰宅した市川さんの夫が、市川さんが室内で倒れているのに気づいたが、すでに死亡していた。

 伊賀保健所の調査で、市民病院など2病院に13人が5月23日から今月9日にかけて同様の症状で入院したことがわかった。現在も11人が入院している。同医院の医師は谷本院長1人で、看護師8人。

 黒沢尚・順天堂大教授(整形外科)は、こうした点滴治療が国内で広く行われているとし、「大量、連続的に今回のような症状が出たということは聞いたことがない。別の要因があるのではないか」と述べた。
-----(引用、終わり)-----

ノイロトロピンの注射というのは当院でもよくやっています。
局所注射(疼痛点に注射)や点滴静注も(ただし、そのまま静注というのはめったにしません、多くが点滴静注です)。
ノイロトロピンでも、時にアナフィラキシーショックを思わせる血圧の急激な低下というのはあり得ます。それで、私は静注というのをよほどの患者さんが希望しない限りしません。急いでいるからといわれても、最低限100ml程度の生食に添加する形で、点滴用ベッドに横になってもらって20分程度かけて静注する。
また、ビタミン剤でもアレルギーはあり得ます。静注だろうが筋注だろうが、また経口だろうがです。

しかし、この事件は、そういうアナフィラキシーショックとは違う。
点滴の静脈注射を受けた複数の患者に腹痛や発熱、嘔吐(おうと)、ふるえ、白血球減少などの症状がみられると連絡があった。
発熱、嘔吐、白血球減少となると、敗血症か。
もしかすると点滴のコンタミネーション?

アレルギーが、これほど多量に、連続してなどというのは確率的にあり得ないです。
あり得るといってもノイロトロピンやビタミン剤のアレルギーってのは非常に少ないですし、そうでない製剤でも、これほど短期間に連続してなどというのはあり得ない。また、先に書いたように、アレルギー反応の症状じゃない。
専門家のコメントにあるように「別の要因があるのではないか」。
その別の要因というのは、コンタミによる菌血症で、死亡例や重症例ではそれから敗血症になったのではないでしょうか。

この医院にストックされているだろう点滴製剤、注射製剤、全て調べるべきです。
それも警察などじゃなく専門機関で、、、と言っても、今の日本にはそれがない。
警察のような専門外のど素人機関が出しゃばってきてやるというのが今の日本の現状なんよねぇ、、、

つまりは犯罪として扱われ、後の同じことが起こらないようにどうしたよいのかという制度改善に生かされない。
生かされるとしても、遅いし、不完全。
こういう日本の現状はなんとかしないといけないけど、今厚労省がやっている安全調査委員会では弊害が多すぎる。

八方塞がり。

(追記)
やはりというか菌血症、敗血症で間違いなさそうです。
そして、その原因は「点滴の作り置き」のよう。

続報です。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080611-OYT8T00503.htm
マニュアル違反 点滴液作り置き
-----(ここから引用)-----
三重の医院患者死亡 細菌増殖か

 三重県伊賀市の整形外科医院「谷本整形」で点滴を受けた患者14人が体調不良を訴え、うち1人が死亡した問題で、谷本広道院長は11日、30歳代の女性看護師が院内のマニュアルに反し、点滴液を作り置きしていたことを明らかにした。

 県と県警は点滴液を保管している際に何らかの細菌が入り込み、増殖した可能性があるとみている。県警は谷本院長らから事情を聞いており、看護師は、作り置きを認めているという。

 県警は死亡した市川満智子さん(73)(伊賀市)の遺体を11日に司法解剖して、詳しい死因を調べる。県は午後から同医院の立ち入り調査を実施する。

 同医院は、腰痛などの治療のために点滴治療を行っている。点滴液は、鎮痛剤とビタミン剤、生理食塩水を混ぜて作る。

 谷本院長によると、院内の事故防止マニュアルでは、点滴液の作り置きを禁止していた。通常、点滴を調合するのは、雑菌が入ったり、成分が変わったりするのを防ぐため、治療の1〜2時間前という。しかし、30歳代の看護師は点滴液を調合し、作り置きして長時間、院内に保管していたという。谷本院長は、作り置きした理由や期間について「わからない」としている。

 谷本院長は10日夜に、この看護師から点滴液の作り置きを知らされたという。

 同医院では、2年前にも点滴後、体調不良を訴えた患者2人がいたが、すぐに回復したため保健所には届けていなかったという。

 県伊賀保健所によると、11日朝以降、谷本整形で点滴を受けて体調不良になったという数人から相談があった。同保健所は谷本整形に対し、5月初旬以降に点滴を受けた100人以上の患者と連絡を取り、容体把握などに努めるよう指導した。
-----(引用、終わり)-----

点滴内に薬剤を添加することはよくしている。
当院では他より少ない、それもかなり少ないにしろブドウ糖やビタミン剤、それにこのノイロトロピンを添加することはやっています。それから抗生物質も。
が、それはその場で、あるいは点滴ルートを確保してから添加するなどというのが普通で、それを1日前とかいうことはあり得ない。
もし「作り置き」というのが事実なら、この医院の責任は免れないでしょう。

ただ、まだ腑に落ちない。
1日前程度で、これほど重症化するまで細菌が増殖するものなのか、それときちんと清潔操作していて細菌混入がこれほど多数例で起こりえるものなのか?
よほどの不潔操作だったのか、また作り置きも1日とかでなく1週間分とか2週間分ストックしていたとかでないのか、、、

これは保健所や県の専門家による、きちんした調査をお願いしたいものです。
警察のようなど素人じゃなく。

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