ある町医者の診療日記

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zoom RSS 現代のガダルカナル

<<   作成日時 : 2008/03/21 16:06   >>

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救急患者受け入れ拒否という事例を無くすために、何が何でも受け入れろと決めたところがあります。
あの福島市です。
救急病院が受け入れを拒否するのは理由があるからです。
専門医がいない、受け入れベッドがない、他の患者を処置中などなど。
しかし、福島市では「救急車は必ず受け入れろ」と取り決めを行った。
これの経緯はYosyanさんがブログで詳しく取り上げています。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071122

救急車が救急現場で搬送先を探して長く待期しないといけないのは、現在の日本における「救急受け入れ態勢の貧弱さ」にあります。
人も物資も足りないのです。
(にもかかわらず、世界最高の医療水準を維持できていたのは、現場のがんばりによる。)
そして、そういう何もかも足りないという状況にしたのは、この国です。この国の政府、司法、マスコミ、そしてクレーマーに代表される自称「被害者」達です。
病院は、ベッドの稼働率を100%近くに維持しないと赤字になる。それでは民間病院では倒産するし、公的病院でも、赤字は許されない。司法は、あの奈良タンポナーデ事件のように2次救急病院では常時専門医をおいてどんなことが起こっても直ちに専門的治療をできないといけないと命令している。そういう不可能なことを司法は命令しているのですから、そうじゃないところは重症患者は断らざるを得ない。
マスコミや自称「被害者」のことはもういいでしょう。地雷を一度踏めば弱小病院は終わりですし、医師個人はどんな大きな病院に勤めていようが同じです。あの大野病院事件や割りばし事件で訴えられた医師と同じ立場にいつ自分が立たされるか分かったものではない。がんばればがんばるほど、そして親切心を出せば出すほど、いつ足下をすくわれるか分かってものではないという状況に現場はさらされている。

この国は医療に不可能なことを要求している

そこにこれです。
救急患者「断りません」

不可能なことを現場に要求するとはいったいどうなっているのか?

福島市では今どうなっているのか興味がありました。
日系メディカルのその一端を報じる記事がありましたので紹介します。
【特集】「救急車断らない」宣言した福島市の内実
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200803/505747.html

-----(ここから引用)-----
 そこで取り決められたのが、「救急搬送は輪番病院で必ず受け入れる。そして、受け入れた病院が責任を持って処置するか、他の受け入れ先を探すこと」。満床を理由にするなという、トップダウンによる問答無用の措置である。

 面食らったのは現場だ。「断るなといっても、専門外だったりベッドが一杯の場合もある。それでも受け入れろというのかと、戸惑いの声が上がった」。福島県立医大病院救急科教授の田勢長一郎氏は語る。しかし、騒動が起きた以上何らかの対策を立てなければならない、という意見に押され、この方針は承諾された。
-----(引用、終わり)-----

「しかし、騒動が起きた以上何らかの対策を立てなければならない、という意見に押され、この方針は承諾された。」とはどういうことでしょう?
不具合が起こればその改善策を講じるというのは正しい態度です。
しかし、これでは現場丸投げです。
それも、不具合の原因が現場にあるのではない。不具合を作った原因は、先に挙げた政府であり、司法であり、マスコミであり、自称「被害者」達です。
彼らは何もしていない。

-----(ここから引用)-----
 各病院はどう対応したか。2次救急医療機関の1つ、福島赤十字病院(福島市)の例を挙げる。同病院脳神経外科部長の渡部洋一氏は、「変更した点は2つ」と語る。

 1つ目は、ベッドの確保だ。2次救急の輪番の日は、個室を2部屋空けておくことになった。「急な重症例が運ばれてきても、個室なら何とか処置できる」(渡部氏)ためだ。個室が埋まっていても、日中の間に患者や荷物を移動して夜間に備える。

 2 つ目は、勤務時間の延長だ。これまでも同院では外科系と内科系の医師がそれぞれ1人ずつ当直していたが、人手を増やした。といっても応援が来たわけではない。救急患者の大半を占める脳神経外科、循環器内科、整形外科の3科の医師が、救急の受け入れ要請が落ち着く午後10時くらいまで、毎日病院に残ることになったという。
-----(引用、終わり)-----

無理な状態にある現状に、更に無理を重ねたということになりますか。

現場の医師もこう言っています。
-----(ここから引用)-----
 福島赤十字病院外科の今野修氏は、今回の措置を「他に方法がない」として受け入れながらも、行政の支援を強く訴える。「救急医療は行政が金と人を投入して整備しなければならないのに、各病院や医師の負担で乗り越えているのが現状だ。しかも、福島市には市立病院がないので、救急は民間病院が支えざるを得ない。市はもう少し資金を拠出して、救急医療の人材確保に手助けしてほしい」。
-----(引用、終わり)-----

先に紹介したYosyanさんがブログにはこうあります。
-----(ここから引用)-----
そういう中での問答無用システムは個人的に精神論の極致と感じます。原典が見つからなかったのですが、東条内閣のときの戦意高揚ポスターにこんな感じのスローガンがありました。

「1+1=200」これが東条首相の算数である。1+1は普通は2であるが、創意工夫を重ねる事により200にする事が出来る。

個人の生活信条としての考え方としては悪くありませんが、これをすべての社会システムに適用するには無理があります。社会システムは純算数ではなく、人間のモチベーションが大きく影響し時に「1+1=2」以上の効果をもたらすことがあります。ただしシステム設計上は「1+1=2」であることを前提として考えるのが鉄則です。プラスアルファについてはあくまでも余禄やオマケであり、より緻密に設計するときには「1+1=2」以下になる事もリスクとして織り込む必要があります。
-----(引用、終わり)-----

福島の現状は、先の大戦中のガダルカナルだと思います。
このままでは死ぬ。
いつか地雷を踏む。
それは明かです。
私は逃げろと言いたい。

ガダルカナルの兵士には逃げる自由はなかった。
しかし、今の兵士には逃げる自由はある。
分かっていて逃げないのは自業自得と言われる。

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欲しがりません、果つまでは。
現在の医療状況は終戦前と同じ。人不足と物不足に現場が疲弊している中で、司令部は楽観的な精神論(Mentality-Based-Medicine)を唱え、マスコミは大本営発表を垂れ流す。 ...続きを見る
kameの いい味出してね
2008/03/22 13:24

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