ある町医者の診療日記

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zoom RSS 分娩料の差別化は是か非か

<<   作成日時 : 2008/01/15 14:19   >>

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自治体病院はどこも赤字です。必死の努力で黒字になっているところもあるようですが、それも微々たるものです。
赤字となれば、それはその自治体の住民から徴収する税金で補填するすることになる。そして実際、そうしているところがほとんどです。補填せず赤字のまま放置すれば、閉鎖か民間移管しかなくなる。
赤字の自治体病院を抱えた自治体の住民は、その自治体病院を維持するために、金を出している。税金でです。
ところが、その自治体外の住民は、その金をだしていない。負担をしていないことになる。

さらにです、あの大淀病院事件のように、他の地域から受診した患者が、クレームをつけて設立主体である町を相手に訴訟し、何千万円と要求するようなこともある。もし町が裁判に負けたりしたら、その賠償金を払うのは町です。つまりは税金から払うことになる。
運営する金も払わず、ただ益だけ受ける、さらに不都合なことが起こったら、クレームをつけて金を要求する。

それって不公平ではないのか?

お産は市民7万円・市民以外22万円 自治体「脱公平」
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200801120087.html
-----(ここから引用)-----
 各地の自治体病院で、妊婦の居住地によって出産費用に格段の差をつけたり、お産を断ったりする動きが出始めた。産科医不足に自治体の財政難が重なり、直接の納税者以外に同等の医療サービスを提供するのが難しくなってきたためだ。「差別化」の結果、締め出された自治体との間であつれきが生じるケースもある。公立病院が掲げてきた「公平な医療」の理念が揺らいでいる。

 大阪府泉佐野市議会は昨年12月、市立病院でお産をする市外の妊婦の分娩(ぶんべん)料について、今年4月から13万円増の22万円にすることを盛り込んだ条例改正案を可決した。
-----(引用、終わり)-----

こうした理由は、上記に私が書いたのと同じです。
「新田谷(にったや)修司・泉佐野市長は「財政危機の中、『ただ乗り』は理解が得られない」と強調する。」

これについて、二人の識者がコメントしています。
-----(ここから引用)-----
 専門家の意見は分かれる。地域医療に詳しい伊関友伸(いせき・ともとし)・城西大准教授(行政学)は「周辺市町村や妊婦自身に負担を求める動きは今後も増える」とみる。出産直前まで検診を受けていない妊婦が費用の安い自治体病院に飛び込む例も多く、こうした「ハイリスク分娩」に対応するための人件費や設備費もかさむ。「出産の場を守るため、自治体同士が分担し合うのが望ましいが、協議がまとまらなければ、妊婦に負担を求める方策もやむを得ない」

 一方、塩谷泰一(しおたに・たいいち)・徳島県病院事業管理者は「経営難だからといって患者負担に格差を設けるのは論外。『胸を張れる赤字』かをまず検証しないといけない」と指摘。「広域の医療が良くなるよう考えるのが自治体病院の存在意義の一つ。関係者はしっかり意識すべきだ」と主張する。
-----(引用、終わり)-----

伊関教授はご自身のブログで、これについて書かれています。
伊関友伸のブログ
http://iseki77.blog65.fc2.com/blog-entry-5417.html
-----(ここから引用)-----
この記事についてのコメントは、昨年末に関西の朝日新聞の記者さんから取材を受けていた。

電話で話をしていて、記者の最初の発想は、分娩費に格差があるからおかしい、泉佐野市が悪いというトーンの記事を書くつもりだったようだ。

伊関は、「それは違う。今日的な産婦人科医不足の中で、周産期医療に関しては、他の診療科と違い、地域の自治体が共同して体制を整える責務がある。お金を出さない、岸和田市と阪南市がおかしい。結果として、妊婦さんの負担が増えても、それはそういう首長を選んだことが問題で、妊婦やその家族(これから妊婦になる人も含む)は岸和田市長と阪南市長に抗議をするのが筋である。選挙の争点にして、「周産期医療」より「お金」の方を選ぶ首長を落選させるべきだ。それが民主主義と考える」と答えた。

最初の朝日の記者の論調だと、泉佐野市が、岸和田市民も阪南市民の妊婦が「かわいそう」だから、同じ分娩費に引き下げるべきという結論になりかねない。

そうすれば、周産期医療の現場へ投入できるリソースが減り、結局、現場に更なるしわ寄せを強いることになる。

それだけは避けたいと考えた。

だから、短いコメントでは考えの全てが伝わらず、妊婦のことを考えないとんでもない「悪者学者」という批判が起きる可能性があるが、あえて、自治体ごとの負担の格差があっても構わないというコメントをした。
-----(引用、終わり)-----

私は、伊関さんの主張に賛成です。
周産期医療に金を出さず、ただ乗りだけする、それを許すことは悪平等、いや悪平等どころか盗人におい銭に等しいかもしれない。

逆のコメントを出している「塩谷泰一(しおたに・たいいち)・徳島県病院事業管理者」ってどういう人かとgoogleで検索してみたら、、、
http://www.tph.gr.jp/byoinjigyo.html
-----(ここから引用)-----
しかし、その一方で、全国的に社会問題となっている勤務医不足は、人口10万人対医師数が262.4人と全国第二位の多さである徳島県でさえ例外ではなく、勤務医の診療科偏在と地域偏在によって過疎地の地域医療は崩壊の危機に瀕しています。看護師不足も含め、この問題は単に、一医療機関や一自治体で解決できるものではなく、大学・県行政・地域自治体・地域住民・医師会などが一体となって取り組むべき課題ではあるものの、県下のリーディングホスピタルである県立病院に課せられた責務には大きいものがあり、その確保・充実に向けて最大限の努力を払っていきたいと考えています。
-----(引用、終わり)-----

「全国的に社会問題となっている勤務医不足」は、「大学・県行政・地域自治体・地域住民・医師会などが一体となって取り組」んでも解決不能でしょう。国が、現在の医療政策を変えなければ、大学・県行政・地域自治体・地域住民・医師会などが何をやろうが解決しない。
県立中央病院が潤い、その潤沢な資金を医師や看護師などに回して、徳島県下や他の地域からスタッフを集めることができたとしら、それは、その地域のスタッフ不足をよけいひどくすることになる。他の地域の犠牲の上に、勤務医不足が解消されたというに過ぎない。そんなことをしていいのか?
大病院が7:1看護を満たすために大量の看護師を募集しことによって、中小病院や地方の病院の看護師不足を助長した、それと同じことをやることになる。
他からスタッフを集めるのではなく、今いるスタッフにさらなる労働を強いるのか?
労働基準法を守ってそんなことが可能なのだろうか?
今でさえ労働基準法違反の労働を勤務医に課しているのに、さらに過酷な労働を強いるのか?

国に今の医療政策を変えさせること、それによって勤務医不足を解消させる。しかし、それまでに10年、20年の時間がかかるので、それまではアクセス制限で時間稼ぎをする。
それしか手はない。
私は、伊関さんの主張に賛成です。

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