ある町医者の診療日記

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zoom RSS 事故調査委員会の目的は何なのか?

<<   作成日時 : 2008/01/12 18:10   >>

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厚労省が作ろうとしている、また自民党がもくろむ「事故調査委員会」は、何を目的としている組織なのか?
試案にあるように「事故の再発防止と医療安全の向上」が目的であるならば、それに徹するべきでしょう。そこに、処罰や賠償などの目的を混在させることは、本来の目的である「事故の再発防止と医療安全の向上」にとって逆効果となる恐れさえある。

雑誌「世界」の2008年2月号で「医療崩壊をくい止める」という特集が組まれています。その紹介サイトに出月康夫氏のメッセージがあります。
いわゆる医療事故調査委員会に関する厚労省試案に対する疑問
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2008/02/072msg.html
私は全くその通りと思いますので、ここに全文を引用させていただきます。
-----(ここから引用)-----
 医療事故の報道が後を絶たない。医療技術は本来的に不完全技術であって、不慮の事故や有害事象が起こることを完全に防ぐのは難しい。事故の再発防止や医療の安全性向上のためにはこれらの原因がどこにあったのかを知ることが大変に重要である。
 これまでのわが国の医療事故に対する調査の基本姿勢は司法による当事者の法的責任の追及と処分、懲罰が主であり、ここでは事故の再発防止の観点が著しく欠如していたことは否めない。昨年10月、厚労省は「診療行為に関連した死亡の死因究明のあり方に関する(第2次)試案」を発表したが、この中で死因調査のための専門委員会(いわゆる事故調査委員会)の設立を提案し、調査の結果を事故の再発防止と医療安全の向上につなげることを明記したことは大きな進歩である。
 この原案作りに委員を参加させている日本医師会や一部の病院団体はこの厚労省案を評価していると報道されたが、一方で医療関係者の中からはこの事故調案に対してなお基本的な点で種々の欠陥や疑問があることが指摘されている。
 たとえば、
 1)診療関連死が何を指すのかその範囲が明らかにされていないため、その拡大解釈が無限に可能であること。
 2)事故原因の科学的な調査のための委員会であるにもかかわらず、医療についての専門知識を持たない法律関係者や、遺族の立場を代表する者が初めから加わっていること。
 3)第3者委員会と称されているが、医療現場の監督官庁である厚労省の下に委員会が設置されており、厳密な意味で第3者委員会となりえないこと。
 4)委員会による調査結果が民事裁判や刑事裁判にも利用されうるとされているので、情報提供者の匿名性や免責性が十分に保証されていないこと。このことは、ひいては憲法第38条第1 項(何人も自己に不利益な供述を強要されない―黙秘権)にも抵触する恐れがある。5)調査と(行政)処分が同じ厚労省の所管となっていること、などである。
 すなわち、この案による事故調では、運営方法の如何によっては第3者機関とは名ばかりで、委員の人選から運営まで厚労省の意向によって左右されかねない。また、法律関係者や遺族の代表が加わることによって、事故原因の探求という本来の目的から外れて審判や裁判機能を同時に持つ複雑なものとなりかねないのである。第2次試案の序文に明記されている事故の再発防止と医療の安全性の向上がこの調査委の設置の目的であるならば、事故調はあくまで専門的な立場からの事故原因の究明に徹するべきである。事故調査の段階から司法関係者や遺族側代表を関与させることは、事故原因の客観的、科学的解明を初めから放棄することになりかねない。
 ある調査によれば、医療事故の60%以上が個人のミスというよりは医療現場におけるハードウェア、ソフトウェア、マネジメント、環境上の欠陥や、フェイルセーフ、フールプルーフなどの防御システムの不在に起因するシステマチックエラーによるとされている。
 いわゆる事故調による医療事故調査が原因を客観的、科学的に究明し、事故の再発防止や医療の安全性の向上に役立てることを目的とするのであれば、厳密に第3者機関として設置し、これまでの行政や司法の主導による当事者の責任追及と処罰という懲戒主義から根本的に発想を変えて、科学的な原因探求主義へと転換を図り、調査の結果は現場での事故の再発防止に迅速にフィードバックできるようにすべきである。当事者間の問題である謝罪や損害の補償、処分や再教育などは事故原因の調査、分析とは切り離して、まったく別個に行なわれるべきである。これらを混在させる恐れのある厚労省の第2次試案には大きな欠陥があり、大幅な修正が必要である。
-----(引用、終わり)-----

医療事故の原因を客観的、化学的に究明し、事故の再発防止、医療の安全性の向上に役立てること、これが目的であるならば、そのことだけに徹し、当事者個人の責任追及、処罰、また謝罪や賠償などとは切り離すべきである。
当事者個人の責任追及、処罰、謝罪や賠償などをしたいのであれば、それ専用の組織を作るか、あるいは今もある裁判などにまかせておいたらよい。どうせ、いくら調査委員会できちんとした解明が行われても、それに患者や家族が納得しなかったら、訴訟権のような権利を取り上げることはできないのですから、必ず裁判など訴訟に訴えるのは間違いない。そういう訴訟で、「真相究明」などできない、そういう訴訟は紛争処理に徹してもらったらよい。

私は、この出月氏の主張に全面的に賛成です。

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