ある町医者の診療日記

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zoom RSS 泥縄を編む政府・与党

<<   作成日時 : 2007/05/18 16:40   >>

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泥縄(広辞苑より)
(泥棒を捕えて縄をなう意) 事が起ってからあわてて用意をすることのたとえ。

まさにこの泥縄式の典型でしょうこれは。
医学部定員増の拡充検討 国立病院からの派遣も 医師不足で政府、与党
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=47204
-----(ここから引用)-----
 政府、与党の医師不足対策で、東北など10県の大学医学部の入学定員を最大10人まで最長10年にわたり増やすことになっている定員増の拡充が検討項目にあがっていることが11日分かった。与党は、対象県をさらに増やすことや1県当たり増員枠のさらなる引き上げなどを検討課題に挙げている。
-----(引用、終わり)-----

医師不足である(と政府、与党がみなしている)県にある医学部の定員を増やすということですが、定員が増えたからと言って、その医師が実践で使えるようになるまでに最低でも10年、今不足しているのに、いったいいつの話をしているのかということになります。まさに泥縄です。

それに、医師不足なのは、10県だけじゃないぞ、日本全国であり、田舎だけでもない、都会でも医師が足りないのです。
しかし、厚労省は医師不足じゃない、医師は偏在しているだけだという実態とはかけ離れたことを元にして政策を立てていますから、以下のような無茶なことも言うことなります。
-----(ここから引用)-----
 医師不足が深刻化している地域に、国立病院などの拠点病院から期間を区切って医師を派遣するシステムの構築も検討する。
-----(引用、終わり)-----

-----(ここから引用)-----
 医師の派遣元となる拠点病院は、各地で医療の中心的役割を果たしている国立病院機構の146病院などを想定。期間が長いと医療技術の進歩から取り残されるとの懸念が医師側に強いため、半年から長くても1年以内とする方向だ。
-----(引用、終わり)-----

その146病院って医師が過剰なんでしょうか?
医師が余っているとでも?

国立病院機構の矢崎義雄理事長がJapan Medicineにこう述べています。
-----(ここから引用)-----
-病院医師不足が社会問題化している中で、国病機構に派遣機構を設置することなどが、一部マスコミなどで取りざたされていますが、いかがでしょうか。

矢崎理事長 国病機構の現状が理解されていないようだ。国病機構の3分の2に当たる91病院は、重心、筋ジス、神経難病などの特殊疾患や地域医療を担っており、医師確保が困難を極めているのが現状だ。実際に5月1日現在、医療法標準医師数を満たせない病院が49病院に上っている。さらに、常勤医が5 人以上減少している病院も東日本を中心に23病院あるのです。
  さらに、国病機構は、他の法人に比較して医師が少ないのが現状です。一般病院の100床当たりの医師数が、国病機構の平均が10.1人に対し他法人は18.2人が現状です。国病機構病院でも、東日本地域で医師の引き揚げにあっているのが現状なのです。
-----(引用、終わり)-----
まさに無い袖は振れないと。

そういう嘘の上塗りを政策としてやられたら、現場はますます歪むだけです。

ただでさえ少ない医療費をさらに削減しようとする医療費削減政策(たぶんその根っこには既にカビの生えた医療費亡国論がある)、医師は不足していない足りているという実態とはかけ離れた妄想。こういうのを改めない限り、何をしようが無駄です、いや無駄以上に、よけい医療崩壊を早めるだけです。

産科病院の集約化というのがしきりに言われています。
1人とか2人しか産科医がいない病院は廃止して、そこの産科医を1つの病院に集めて高度な産科病院を作ろうという考想です。
1人や2人の産科病院がなくなることは、その周辺に住んでいる妊産婦にとっては非常に不便なことですが、これはもうしかたない。大野病院事件や大淀病院事件のようなことが起これば、産科医も恐ろしくて働くこともできない。
しかし、こういう集約化は、あくまでも一時しのぎであるということを医療政策を行っている役人は肝に銘じておかないといけない。
集約化することで時間をかせぎ、その間に産科医を増やすことを同時にやらないといけない。それをせずにただ集約化だけをしていては、集約化した病院に集められた産科医もそのうち疲弊し、そこも立ちゆかなくなります。残るのは焼け野原だけという悲惨な状況になってしまう。
一旦失われた技術の伝承は、困難です。
ただ医師を養成したらいいというものではないのです。たぶん、焼け野原からの復興は、第2次大戦後の復興以上の長くかつ苦悩の期間となるでしょう。もしかしたら、復興は無理かもしれない、それほどのものです。

これと同じことが、この拠点病院から医師を派遣するシステムにも言えます。
5年とか10年、なんとかがんばってくれ、その間に医療システムを改善するということを約束し、実際に実行に移さないといけない。
医療にもっと金をかけること、医師をもっと増やすこと、それを今すぐ実行に移さないと、こういう泥縄を編んでいても無駄なだけ、逆によけい医療を破壊するだけです。

もし、一旦焼け野原になってしまっては、今現在日本医療が達成している高度な医療技術は消滅してしまいます。その伝承が途絶えてしまっては、復興はまず不可能だと考えておくべきです。

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