ある町医者の診療日記

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zoom RSS 大淀病院事件>ネット言論の圧殺2

<<   作成日時 : 2007/05/02 01:17   >>

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医師というのは小心な者です。小市民というべきか、法律違反だと言われると、スゴスゴと引き下がる。ちょっとした脅しにもすぐ怯む。それがどんなに理不尽だろうがです。

今回もそのような感じになってきました。

まずm3.comから。
http://www.m3.com/announcements/070501.html
ーーーーー(ここから引用)ーーーーー
m3.comからのお知らせ

本サイト内に本来非公開であるべき個人の診療情報が掲載されている可能性があることがわかりました。現在、当社としても事実関係などを調査中ですが、調査が終了するまで、個人の診療情報の可能性のある投稿については、投稿された会員医師と協議の結果、掲載を一旦停止いたしました。

当社は、医師の方々がオープンかつ率直な意見交換を通じ各種医療問題に対する認識を深めて頂いたり、医療や診療の質を向上させるためのヒントを得て頂く事を目的にm3.com Communityを運営しております。

先日行なったユーザー医師の方へのアンケートでも93%の方に「意義があるサービスだ」とご評価頂き、96%の方に「サイトを継続して欲しい」との回答を頂いており、医師の皆様にとって意味のあるサイトになっていると認識しております。当社としては今後も上場しているメディア企業としての立場を踏まえ、社会の公器として各種法律や、当社の利用規約に沿ったサイト運営を行ってまいりたいと考えております。今後ともご支援、ご愛顧の程、どうぞよろしくお願い致します。

ソネット・エムスリー株式会社
ーーーーーー(引用終わり)ーーーーーー

前回に書いたように、このm3.comにもたらされた情報は、それまでの新聞やテレビが流す報道とは正反対のことを示していた。マスコミは嘘を流しているという根拠となるものでした。
6時間放置、19病院たらい回し、内科医がCT検査を進言というような、病院や産科医のミスを示す根拠となるものが全て虚偽だということを示すものでした。
さらにこれ以上に既存マスコミの情けないところは、m3.comにもたらされた情報は既にマスコミが得ていたものだったということです。情報源であるカルテコピーを既にマスコミは持っていた。彼らは、その情報を理解できなかっただけなのです。カルテコピーの内容を理解できたら、「6時間放置、19病院たらい回し、内科医がCT検査を進言」などというものが事実ではないことはすぐ分かることなのに、なぜ彼らはそれができなかったのか?

私は産科医ではないので、この例のような極めて稀でかつ重篤な妊娠や出産にともなう合併症についてはよく分からない。それで、m3.comで行われた議論(これは症例検討会と言ってもいいようなものでした)を読むだけに近かったのですが、そこで分かったことは、産科担当医にミスはないということで、ほぼ意見が一致した(完全な一致などということは医療においてはありえません)ということです。。
まず子癇があってその後合併症として脳内出血が起こったのか、それとも最初から脳内出血が起こっていたのかというのが大きな議論になりましたが、どちらにしろ大淀病院で対処できるようなものではなく、できるだけ早く、複数の産科医と複数の小児科医がいて、緊急帝王切開ができ(これができるには麻酔科医や専門の看護師もいる)、胎児はすぐNICUに入れられるような、そういう施設に送る必要があったということについては見解は一致していました。つまり、そういう施設や人員がない大淀病院では、すぐ転送しようとした産科医の対処は、後から見ても正解だったということです。この事件の悲劇は、その「複数の産科医と小児科医がいて、緊急帝王切開ができ、胎児はすぐNICUに入れられるような、そういう施設」が、大淀病院の近くにはないどころか、奈良県のどこを探してもなく、さらに隣接の大阪府にまで広げてもなかなか見つからずやっと国立循環器病センターにあったという、そういう現実によるものです。
これはまさに、毎日新聞が後付けのように持ち出した奈良県の「周産期医療の貧困」ということになります。
問題はここにつきるのです。
妊娠や出産は、いつどんなことが起こるか分からない危険なものです。この死亡された妊婦に、その危険なことでもさらに稀でかつ重篤な合併症である子癇、あるいは脳内出血が起こったことは、いわばしかたのないことで誰も責められない。大淀病院に産科医が一人しかいなく、NICUがなかったこと。これも、どうしようもない。それらは、産科医や病院の責任ではない。

にもかかわらずマスコミは、産科医や病院をよってたかって叩きまくった。
「6時間放置、19病院たらい回し、内科医がCT検査を進言」など、存在しなかったものを持ち出して。

この事件をスクープした毎日新聞は、こういう嘘を、最初に、それも大見出しで報道したのはなぜでしょうか?
そして、遺児を抱く夫やなくなった妊婦の遺影などという御涙頂戴の絵を流すテレビ報道がどうして出まくったのでしょうか?
なぜこういうミスリードをマスコミはするのか?

そういう既存マスコミの報道が間違っていると指摘したのはネット言論でした。ネット言論だけだったと言ってもいい。
そのネット言論をよく思ってない者たちが、反撃に出た、これがこの「診療情報流出」としてマスコミが今頃になって持ち出した理由ではないでしょうか。

とにかく、この今マスコミがよってたかってやっている「診療情報流出」問題で明らかになったことは次の3点にまとめられると思います。
いわゆる遺族と称する者たちがよく持ち出す「真相を知りたいだけだ」とか「第2のだれそれを出さないために」とかいう言説の白々しい嘘と、そこについている弁護士の正義とはほど遠い汚いやり方と、そしてマスコミは平気で真っ赤な嘘をつくものだという3つです。

弁護士は依頼主の利益のために活動する。真実を隠し、時には曲げてでも、その目的のために手段を選ばず行動するというのは分かる。そういう職業なのだからしかたない。また、マスコミが平気で嘘をつくというのも、あの「あるある」事件を持ち出すまでもなく分かりきっていることです。
が、真相を知りたいという「遺族」なる存在はいったい何なのでしょうか?
また、「第2のだれそれを出さないために」というのも何なのでしょうか?
真相を知りたいのなら、自ら関連事実を公表することはもちろんのこと、第3者が公表することも、それが事実であるなら積極的に賛成すべきだし、さらにそれを用いてより多くの専門家に議論してもらうのは望むべきもののはず。
まさに、m3.comではそれが行われた。
そして、結論は、病院や産科医にミスはなく、マスコミが嘘をついているということになった。この結論は、遺族の望む結論ではなかった、もしかしたら正反対のものだったかも知れないですが、本当に「真相を知りたい」と望んでいるのなら、不本意な事実も進んで受け入れるべきでしょう。真実とは、時に残酷なこともある。その残酷さを受け入れる心の強さを持っていない者が「真相を知りたい」などとは最初から願わないことだ。自分にとって不都合な主張がなされた、それを中傷だと非難するなどということは「真相」なるものを願う者にはふさわしくない。真相を知る資格がない。ましてや、それを力で持って圧殺しようなどという者が「真相を知りたい」などという言葉を言っては罰があたる。
第2のだれそれを出さないためには、真相を明らかにする必要があります。それは時には遺族に残酷なこともある。産婦にどうしようもない合併症が起こることがあるのだという残酷な真相、万全の医療などというものはどこにも存在しない、時には普通の医療でがまんしないといけないこともあるのだという残酷な真相、愛する親族を失った悲しみを誰にもぶつけようがないという残酷な真相、しかし、そういう真相を受け入れて初めて「第2のだれそれを出さないための施策」を行うことができるようになるのだという残酷な真相。「第2にだれそれを出さないために」と言うのならこういう残酷な真相もあるがままに受け入れないといけない。
それができないのなら、最初から真相をだの第2のだれそれを出さないためになどと言わないことだ。

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