ある町医者の診療日記

アクセスカウンタ

zoom RSS [欧米と日本の胃癌治療の違い]-----2001/10/23(Tue)

<<   作成日時 : 2006/01/27 15:39   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

日外雑誌 102(10):758-763,2001
胃癌手術治療の国際標準化の課題
佐野武ら

日本と欧米とでは胃癌の手術法が全く違う。日本なら、外科医なら誰でもするD2手術をいうのを、欧米ではしないそうです。
また、早期胃癌などというのは、日本でだけ発見されていると言ってもいいほどのものなんだそうです。私のような、町どころか田舎の開業医でさえ見つけているのに、欧米ではよほどの専門医でないとできない。

なぜこんなに違いがあるのか?
この論文を読んで、だいぶ理解できてきました。
日本人と欧米人の体格の差、これがD2手術を困難にしていることは、私も知っていましたが、その他にもいろいろ理由があるようです。

ちょっと、引用。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 固形癌の治療法の時代的変遷をみると、日本と欧米とではまったく異なる道を歩んできたことが分かる。欧米の歴史は乳癌治療の歴史で代表され、日本は胃癌治療を中心に展開してきた。
(中略)
 こうした歴史を通じて欧米の外科医が学んできたことは、
 a、乳癌の局所制御の正否と予後は相関しない。
 b、乳癌のリンパ節転移は癌の全身化を表す指標となるが、リンパ節を郭清することは予後を改善させない。
 c、RCT(無作為比較試験)を通じてえられる知見は臨床経験的な予測を超えており、こうしたevidenceに基づく集学的治療が重要である。
ということであった。
 一方日本では、最も頻度の高い胃癌の臨床研究が固形癌の治療をリードしてきた。
(中略)
 こうした経験から日本の外科医が学んできたことは、
 a、胃癌は局所に長くとどまるので、早期に発見することで治癒する。
 b、リンパ節転移は癌の局所進展であり、郭清の治療効果は高い。
 c、切除例の詳細な検討から治療範囲は標準化されうる。
ということであった。
(中略)
 問題は、それぞれ乳癌と胃癌から学んだことを他の臓器の癌にも当てはめようとしてきたことである。議論は噛み合わず、上記のような数々の誤解を生んだ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−

EMR(早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術)などという治療法も、上記のような経験に支えられた日本独自のものなんでしょう。
欧米の外科医からすれば、EMRの適応である早期胃癌のほとんどは癌でさえないとするかもしれないし、そもそもEMRと胃切除のRCTがないことには、EMRが有用であるとは認めないだろうというのは、私にも分かります。でも、著者が書いていますが「今さらEMRの適応となる症例を選んで胃切除と無作為に比較するということが許されるはずはないし、参加してくれる患者もいない」。
となると、欧米の外科医を納得させるようなevidenceが日本側にはないことになります。

乳癌については欧米流の治療法に日本は追随しているが、胃癌治療については日本流の治療法に簿欧米が追随しては来ない。「胃癌治療の流れは、国際的な標準化に向かう様相を見せない」。
しかたないでしょう。
日本が欧米流の胃癌治療法に追随する必要は全くない。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
Firefox 2 無料ダウンロード
[欧米と日本の胃癌治療の違い]-----2001/10/23(Tue) ある町医者の診療日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる